愚者はのらくら月へゆく

久間健裕の日々のあれこれ

テアトロコントSpecial『夜衝』の衝撃。

 いとうせいこうさんや佐久間Pなどの芸能コンテンツにおけるインフルエンサーがこぞってオススメし、コアなお笑い好きの中で一気に注目を集めている劇団「ダウ90000」。地蔵中毒といいコンプソンズといい、笑いを軸に据えた劇団がお笑い畑の人々に続々と発掘されているのはいい傾向だと思う。

そんなダウ90000の主宰である蓮見さんを脚本・演出に据え、玉田企画の玉田さん、テニスコートの神谷さ、ラブレターズの溜口さんらが出演する、モロ青田買いのコントライブ『夜衝』が先週末に行われたということで、配信のアーカイブで観ることにした。 

f:id:mr-mooncalf:20210811143401j:plain

ビジュアルが既にオシャレ

噂通り、いや、噂以上に面白いコントライブだった。

全体で9本のコントが披露されたが、どれも設定・切り口共に新鮮な会話劇で、玉田さんや神谷さんが惚れるのも納得した。駄弁が面白いって地味だけど凄いと思う。それでいてしっかりコントの文脈も押さえてあって、一番衝撃的だったのは6本目の定食屋のコント。「うわーやられたー」って画面の前で頭を抱えてしまった。

ここ最近、地蔵中毒を中心とした「異常な人物達が異常な世界で異常な会話を繰り広げるエログロナンセンスな笑い」が小劇場界隈の笑いのメインストリームとなっていたので、暴力的・破壊的なギャグ、強烈なキャラクター、ブラックジョークなどのキツめの笑いを極力抑え、日常的な状況に生まれるディスコミュニケーションを俯瞰的な目線で切り取るタイプの笑いを書く蓮見さんが出てきたことによって、均衡が保たれたような気がしている。なに言っとんじゃ。

とにかく、ダウ90000の本公演も見てみたくなった。